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かりん御殿

かりん御殿

多言語育児3

【手結川家・多言語体験談】
**手結川敦仁編*第三章**

《英国小学校教育*第一第二言語の関係》
Junior Schoolでの勉強内容を見てあらためて痛感するのは英語の重要性だ。
英国の公立校は、
政府の指定したカリキュラム(文部省指導要綱の様なもの)にそって
授業を進めていく事になっている。
毎日必ず一時間行われる
Literacy(英語)
Numeracy(算数)
毎週必ず一回行われるPE(体育)の授業の他に
各学校の方針で自由に勉強時間の配分ができる科目に
Science
Design and Technology
Information and Communication Technology
History
Geography
Art and Design
Music
Religious Education
Personal,social and health education and citizenship(任意)がある。

これらの科目全てに英語が重要な要素を占めている。
算数でさえも文章題が多いので英語力が欠かせない。
Year3は小学3年生ですが生徒は7~8歳、
日本風に言えば小学校2年生だ。
日本の現在の小学2年生が、どの様な事を勉強しているか
わからないのですが、私が小学2年生の頃に比べると
かなり一つ一つの課題を掘り下げる豊富な内容を勉強している様である。

例えば、Year3一学期のテーマはエジプトだったのだが
エジプトの位置や気候を図を書きながら説明する事から始まって(「地理」)
ミイラの作り方(「歴史」)を
こと細かに書き連ねた「説明書(ミイラ作成マニュアル)」の制作
(↑鼻の穴から細い針金を通して内臓を引っ張る等々、とにかく細かい...)
等々、大人が見ても飽きない構成になっている。

学校からは、週2~3回宿題が出るほか
(英語は文法に関する宿題や作文が多い)
毎日、薄めの本(100ページ未満の挿し絵のついた物語)を
借りて来て読む課題が出ていた。
読み切れない場合は、続けて借りる事もできる。
長男は、おそらく、この影響で物語を読むのも大好きになった。
現在も、80~100ページくらいの挿絵付き児童書を
一日に一冊読んでいる。

また、読書をしている時、TVを見ている時、宿題をしている時に
わからない単語が出てきたら
とにかく辞書(小学生辞書ですが3万語収録の優れモノ)をひかせて
一緒に読んだり、その辞書に載っていなければ私用の英々辞書を使っていた。


イギリスの小学校教育の枠組の中で、移民家族の児童を中心とする
バイリンガル児童の英語力・学習力を伸ばす方法に関する文章で読んだのだが
英語力の成長の為には、家庭で使用される第一言語をサポートし続ける事や
英語学習に、第一言語を積極的に活用する事が重要であるという認識が
ここ10年来高まっているらしい。

同様に、最近、他のマルチリンガル教育関係の本からも
最近は以下の様な考え方が主流となっている印象を受ける事が多い。
即ち、読解力・分析力・論理構成力・判断力等々「思考能力」は
第一言語・第二言語と言語ごとに分かれている訳ではない;
(↑考えてみれば当然な事なんだが^^;)
その為、能力の高い第一言語で思考力を伸ばしてやる事によって
第二言語の学習力が高まる、つまり
第一言語・第二言語力は、矛盾・相反するものではなく
互いに相乗効果を持つものであるという事だ。

今、振り返って思うに、長男が英語を口にする様になってから
何とか学校で使えるレベルになるまで
ほぼ5年かかったのではないだろうか。

この暗中模索時代、英語が伸びた時期に
日本語も中国語も伸びたという事を実際に体験した為
私自身「第一言語」と「第二言語」の正比例関係論を強く支持する様になった。


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